どんな建物であっても、地上に建っている以上は外の日差しや風雨などの劣化要因からは避けることができません。そうした要因からくる劣化を少しでも遅らせるため、外壁塗装を施して耐久性を高める必要があります。外壁塗装はただのカラーリングではなく、中で生活する人々を守る為に建物自体の耐久性を高める為に行うのです。その為には、ちゃんとしたプロセスを守って施工を行うことが大切です。今回は、外壁塗装の流れを簡潔に解説していきます。
1.外壁塗装の手順①:足場を設置し、塗装前の洗浄をしっかり行い、下地処理をする
外壁塗装の塗装作業に入る前には、塗装作業に入る為に必要な準備工程をまず行う必要があります。準備工程の流れとしては、簡単にまとめると以下の通りです。
・外壁前に足場を設置
・汚れを落とす為に高圧洗浄
・下地処理(場合によっては補修も)
・養生処理
塗装作業には足場が必須です。足場を組むのは基本的には「鳶」と呼ばれる専任の職人がいます。よく建物の塗りなおしや建築の際に見られる鉄など頑強な金属の骨組みを使って、塗装を行う外壁部分を囲うように足場を組んでいきます。
足場を組んだ後は、外壁を高圧洗浄します。これは塗料を塗る前に汚れをしっかり取り除いておかないと塗料がきちんと付着しないためです。高圧洗浄作業では水がどうしても飛び散ってしまうので、足場を組み終わった段階で事前にシートで覆っておきます。
洗浄が終わったら下地の処理を行います。リフォームの際にはひび割れや傷などがあればこの時点で補修を行っておきます。この段階でしっかり補修しておく必要があるのは、いくら塗料を塗るとしても内部から腐食が進む危険性があるからです。それでは意味がありません。
下地を整えたら、「養生」作業を行います。養生とは関係ない場所に塗料が飛散したり付着したりしないように、シートやビニールで覆い隠す作業を指します。ここまで準備して初めて、塗装作業に取り掛かることが出来ます。
2.外壁塗装の手順②:海沿いの町に住んでいる場合には耐塩性や耐久性の高い塗料を選ぼう
ここで、海沿いの町に住んでいる場合に特有の注意点を挟んでおきます。
施工前には必ず、見積書が発行され、内訳にはどのような種類の塗料をどれだけ使うのか、メーカー名から缶の量に至るまでしっかりと書かれています。海沿いに住んでいる人の場合は、少なくともこの見積もりが出るまでに、塗料や外壁の材料についてはしっかり話し合う必要があります。
何故なら海沿いや海に近い場所に住む人の場合、「塩害」のリスクがあるからです。塩害とは潮風や塩気を含む空気が家の屋根や外壁、屋外設備などに付着することで通常よりも速いスピードで劣化が進んでしまうことを言います。
特に金属サイディングやガルバリウム鋼板など金属製の外壁や屋根の場合は非常に塩害を受けやすく、最悪の場合穴が開いてしまいます。その穴に雨水が入り込んでしまえばあっという間に建物の内部に腐食が進んでしまいます。
海に近い地域では、通常の期間よりも早く塗膜が劣化しますので、塩害を意識した外壁塗装施工が必要です。対策方法としては耐塩性の高い塗料を選ぶことや、塩害に弱い外壁材(たとえば金属サイディングやスレート瓦、アルミサッシなど)を選ばないことが大切です。
3.外壁塗装の手順③:いよいよ塗装!外壁塗装は塗装作業と乾燥を交互に行う
養生処理まで終わったら、いよいよ塗装作業に入ります。
塗装は何度も塗り重ねることによって耐久性がアップしていきます。そして、耐久性を高めていく為には、一度塗ったらいったん乾燥させて、時間を置いて乾かしてから塗り重ねていきます。外壁塗装はこの要領で、「下塗り→中塗り→上塗り」の順番で「塗り」作業と「乾燥」が交互に行われていきます。
このように乾燥をはさみながら重ね塗りをしていかないと、塗膜が形成されず塗料が吸着しないのみならず、強度も弱くなってしまい塗装の意味がなくなってしまいます。
まず下塗りにおいてシーラーやプライマーを塗っておきます。これは、中塗り以降で重ね塗りする溶剤(塗料)をしっかり吸着させるために行っておく措置です。中塗りと上塗りは、施主の希望に沿った色や素材の塗料をしっかりと塗っていきます。上塗りまですべて塗り終わったら、施主同席で最終チェックを行い、問題なければ施工完了です。
4.まとめ
以上、外壁塗装の簡単な流れについて一通り解説しました。外壁塗装は永続的にではありませんが、ある程度長きにわたり建物を守ってくれるバリアのようなものです。その強度はしっかりとプロセスを守った末に保証されるものなので、優良業者を見分けるためにも依頼する側の我々も施工の流れをしっかり知っておきましょう。
静岡県は東京や千葉などと同様に塩害の多い地域です。特に掛川市・袋井市・菊川市は地域によっては海のすぐそばに住んでいる人も多い場所です。そうした場所に住んでいる場合には、塗料や外壁材を選ぶ時、塩害のリスクもしっかり意識して選びましょう。